夢野 久作

怪青年モセイ

夏冬繁緒、河東茂生、滋岡透、そのほかいろいろ……田舎者の私は、みんな別々の人間のペンネームかと思っていた。それぞれ文壇の大家としての敬意を心の中で払っていたら、それがタッタ一人の姿になって、香椎山中の私をヒョッコリ訪問してくれた。

せいぜい十八、九ぐらいに見える、スラリとした、鼻の左右にニキビのパラパラと出来た青年であった。極めて粗末な大学生の服を着ていた。霜降りと黒ズボンの……帽子と持ち物は記憶しない。持っていなかったのかも知れぬ。

私は眉に唾をつけたくなった。けれども取りあえず縁側に頭をスリ付けた。油断がならない……と思いながら……。

青年はノコノコ上って来た。

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