夢野 久作

雪子さんの泥棒よけ

夜中に雨戸のところでゴリゴリと音が始まりました。家中で雪子さんがたった一人眼をさまして、何だろうと思いました。鼠ではなく、どうしても人間が何かしているとしか思われませんでした。雪子さんは急いでお父さんとお母さんをゆすり起しましたが、なかなかお起きになりません。そのうちにゴリゴリと物を削る音が一そう高くなったようです。雪子さんはどうしようかと思いました。

音のするところへ行って見ると、雨戸の掛金のところを外から泥棒が切り破っているのです。雪子さんがそこらを見まわしますと、玩具のバケツがありましたから、そっとそこへ押し当てました。

そのうちに泥棒が雨戸を切り破って来ると、何か固いものがあります。小刀で突いて見るとカンカン音がします。雪子さんはおかしくなりました。

泥棒がどこかへ行ったと思ったら、今度は台所の方へ音が廻りました。雪子さんは又、そこへジッと押し当てて待っていました。泥棒は又カンカンと言う物に行き当りました。

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