佐藤 垢石

利根川の鮎

人生の旅

これは、私が十八、九歳のころ考えたことである。そして今もなお、それを想っているのである。

六十歳といえば、人生の峠の頂を過ぎた。しかし、まだ我が人生の旅は遠くいつまでもいつまでも寂しく続いてゆくであろう。根も張りも尽き果てた疲れを負って歩く、灰色の路の我が人生の旅の行方を想うと、堪え難く寂しく悲しい。

前途に希望はないのである。我が力を顧みれば、大きな望みを持てないのが当然であると思う。五十歳くらいまでは、前途に何か自分を待っているような気持ちがあった。絢爛たる花園が、未知の将来に明るく優麗な風景を展げているような希望を抱いていたのであるけれど、この一両年このかた私の前途には、なにも待っていないのを、はっきり見きわめたのである。行けども行けども、灰色の路を歩こう。

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