高村 光雲
幕末維新懐古談
以前狆のモデルで苦労した経験がありますから、今度はチャボのモデルは好い上にも好いのを選みたいというのが私の最初の考えであった。
しかし、矮鶏は狆と違ってその穿鑿も楽であろうと思った……とにかく、早速、狆のモデルの事で注意を与えてくれた彼の後藤貞行氏を訪ねて、今度の製作のことを話し、チャボの良いのがなかろうかと相談しました。
動物には何かと関係のある人だから、早速、或る人を私に紹介してくれた。その人は、元農商務省の役人をしていた人で、畜産事業をやっていたが、目下は役をやめ家畜飼養をやっている、本郷駒込千駄木林町の植木氏という人であった。
私は直ぐその人を訪問しました。ちょうど、現在の私の宅と同町内で、その頃長寿斎という打物の名人があった、その横丁を曲がって真直突き当った家で、いろいろ家禽が飼ってあった。