岸田 国士

モノロオグ

花茣蓙を敷きつめた八畳の日本間、寝台、鏡戸棚、テーブル、椅子等、すべて安物の西洋家具。寝台には、掛蒲団がなく、マトラスだけになつてゐるところ、テーブルの上に椅子が一脚、逆さまに載せてあるところ、この部屋が、今誰にも使はれてゐないことを示してゐる。

装飾と云へば、壁に、新聞の新年附録らしい美人画が、鋲で留めてあるきりで、そのほか、何か「歴史的な」ものを求めれば、柱の一本に、四月十七日の日附が出たカレンダアがぶらさがつてゐる。

正面は障子。左手は、一間の床の間と一間の押入。

曇つた日の午後四時過ぎ。

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