林 芙美子
柿の実
隣家には子供が七人もあつた。越して来た当座は、私のうちの裏庭へ、枯れた草酸漿が何時も一ツ二ツ落ちてゐて、檜の垣根の間から、その隣家の子供達が、各々くちの中で酸漿をぎゆうぎゆう鳴らしながら遊びに来た。
風のよく吹く秋で、雲脚が早くて毎日よく落葉がお互ひの庭に溜つていつた。
「おばさまおちごとですか?」
下から二番目の淵子ちやんと云ふ西洋人形のやうな子供が、私のうちの台所の窓へぶらさがつてはばあと覗いた。
林 芙美子
隣家には子供が七人もあつた。越して来た当座は、私のうちの裏庭へ、枯れた草酸漿が何時も一ツ二ツ落ちてゐて、檜の垣根の間から、その隣家の子供達が、各々くちの中で酸漿をぎゆうぎゆう鳴らしながら遊びに来た。
風のよく吹く秋で、雲脚が早くて毎日よく落葉がお互ひの庭に溜つていつた。
「おばさまおちごとですか?」
下から二番目の淵子ちやんと云ふ西洋人形のやうな子供が、私のうちの台所の窓へぶらさがつてはばあと覗いた。