国枝 史郎
蔦葛木曽棧
藪原長者
「福島は今日から馬市で、さぞまあ賑わうことだろう」
「福島の馬市も馬市だが、藪原の繁昌はまた格別じゃ。と云って祭りがあるのではないが、藪原長者の抱妓の中に鳰鳥という女が現われてからは、その顔だけでも拝もうとして、近在の者はいうまでもなく遠い他国からも色餓鬼どもが、我も我もと押し出して来て、夜も昼も大変な雑沓じゃ」
「そのように評判のその女、どういう素姓の者であろう?」
国枝 史郎
藪原長者
「福島は今日から馬市で、さぞまあ賑わうことだろう」
「福島の馬市も馬市だが、藪原の繁昌はまた格別じゃ。と云って祭りがあるのではないが、藪原長者の抱妓の中に鳰鳥という女が現われてからは、その顔だけでも拝もうとして、近在の者はいうまでもなく遠い他国からも色餓鬼どもが、我も我もと押し出して来て、夜も昼も大変な雑沓じゃ」
「そのように評判のその女、どういう素姓の者であろう?」