国枝 史郎
小酒井不木氏の思い出
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小酒井不木さんが逝去された。哀悼にたえない。氏が医学界と探偵小説界に尽くされた功績の数々については、世人は大方知悉していられることと思われる。
ここでは主として氏が日常のことと執筆態度などについて書くことにする。
氏の義理堅さは有名なもので、原稿など依頼を受け、引き受けられるや、枚数期日など極めて正確で殆ど編集者に迷惑をかけたことなどはなかった。いつも編集者に安心を与えていられた。これは医者が患者に安心を与えて、その心を喜ばせるという、あの心理から来ている。