伊藤 野枝
日記より
六日――――
雨だらうと思つたのに案外な上天気。和らかな日影が椽側の障子一ぱいに射してゐる。
書椽の方の障子一枚開くと真青な松の梢と高い晴れた空が覗かれる。波の音も聞こえぬ。サフランの小さい花がたつた一つ咲いてゐる。
穏やかな、静かな朝だ。何となく起きて見たい。枕の上に手をついてそつと上半身を起して見る。少し頭が重いばかりだ。暫く座つてた。朗らかな目白の囀りが何処からともなく聞こえて来る。
伊藤 野枝
六日――――
雨だらうと思つたのに案外な上天気。和らかな日影が椽側の障子一ぱいに射してゐる。
書椽の方の障子一枚開くと真青な松の梢と高い晴れた空が覗かれる。波の音も聞こえぬ。サフランの小さい花がたつた一つ咲いてゐる。
穏やかな、静かな朝だ。何となく起きて見たい。枕の上に手をついてそつと上半身を起して見る。少し頭が重いばかりだ。暫く座つてた。朗らかな目白の囀りが何処からともなく聞こえて来る。