国枝 史郎

広東葱

一

夕飯の時刻になったので新井君と自分とは家を出た。そして自分の行きつけの――と云っても二三回行っただけの――黄華軒という支那料理店へ夕飯を食いに這入って行った。

「日本人は一人も居ないんだね」

新井君は不意にこう云ったが、自分にはその意味が解らなかった。

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