国枝 史郎

物凄き人喰い花の怪

一

バルビューさんの亡霊が市中へ出るという噂が、誰からともなく云い出された。

奇怪極まるこの評判が西班牙中に拡がった頃一人の勝れた心霊学者がマドリッド市長の依頼に依ってマドリッド市へ研究に来た。

市長、警視総監、新聞記者、刑事や巡査に案内されて心霊学者のフィリッポ氏が真先に訪問れた土地というのは「バルビューさんの幽霊」がまだ此浮世に生きていた頃そのお父さんのコックニー博士と一緒に工場を経営していたカンタブリアという小村であって、市から半哩ほど距たった寂しい陰気な土地であった。

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