久生 十蘭

キャラコさん

一

まだ十時ごろなので、水がきれいで、明るい海底の白い砂に波の動きがはっきり映る。その白い幻灯のなかで、小指の先ぐらいの小さな魚がピッピッとすばやく泳ぎ廻っている。

硝子細工のような透明な芝蝦の子。気取り屋の巻貝。ゼンマイ仕掛けのやどかり。……波のうねりが来るたびに、みんないっしょくたになって、ゆらゆらと伸びたり縮んだりする。

「わァい、やって来たぞォ」

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