久生 十蘭
キャラコさん
一
秋が深くなって、朝晩、公園に白い霧がおりるようになった。
低く垂れさがった灰色の空から、眼にみえないような小雨がおちてきて、いつの間にかしっとりと地面を濡らしている。樹々の幹も、灌木も、草も、みな、くすんだ煤黝色になり、小径の奥の瓦斯灯が、霧のなかで蒼白い舌を吐いている。
風の吹いたあくるあさは、この小さな公園はすっかり落葉で埋まってしまう。桐や、アカシヤや、赤垂柳などの葉が、長い葉柄をつけたまま小径やベンチの上はうずたかくなる。
久生 十蘭
一
秋が深くなって、朝晩、公園に白い霧がおりるようになった。
低く垂れさがった灰色の空から、眼にみえないような小雨がおちてきて、いつの間にかしっとりと地面を濡らしている。樹々の幹も、灌木も、草も、みな、くすんだ煤黝色になり、小径の奥の瓦斯灯が、霧のなかで蒼白い舌を吐いている。
風の吹いたあくるあさは、この小さな公園はすっかり落葉で埋まってしまう。桐や、アカシヤや、赤垂柳などの葉が、長い葉柄をつけたまま小径やベンチの上はうずたかくなる。