長谷川 時雨

こんな二人

一人は太古からかれない泥沼の底の主、山椒の魚でありたいといひ、ひとりは、夕暮、または曉に、淡く、ほの白い、小さな水藻の花でありたいと言ふ、こんな二人。

一人は澎湃奔放たる濁流を望み、ひとりは山影の苔清水をなつかしむ。

『水清ければ魚すまず、駄目だよ。』

『そのかはりに月影が澄む。』

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