長谷川 時雨

夏の夜

暗い窓から

地球が吸ひよせる雨――そんなふうな降りだ。

六十年ぶりだといふ暑熱に、苦しみ通した街は、更けてからの雷雨に、なにもかもがぐつすりと濡れて、知らずに眠つてゐる人も快げだ。

叩きつける雨の勢ひは、遮るものにあたつて彈きかへされ、白い霧になつてゐる。木の葉は――青桐の廣葉は、獅子がたてがみをふつてゐるやうに、葉を立てて、バリバリと、貪焚に、雨にぶつかつてゐる。

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