長谷川 時雨

裸女の画

シヤガールの裸の女の繪を床の間においた。こんないい繪をわたしが持つてゐるのではない。『近代美人傳』の口繪を拜借した某氏から、この繪も添へて貸してくださつたのを、丁寧に床の間においたのだつた。

送つて來てくれた人たちに、門口で挨拶して主人が歸つて來たのは、もう夜更けだつたが、室にはいるとすぐに、床の間の繪に目を走らせて、誰のです、と叫んだ。

ああ、シヤガールね、どうも並々の畫ぢやないと思つた。

と、さほど大きくもない額の前に跼んで眺め入つてゐる。

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