木村 荘八

吉原ハネ橋考

山川秀峰 大兄

この便遅延失礼。矢来町より御指図につき早速ハネ橋について誌します。実はぼくの見おぼえだけでは昔のことでもあるし危険と考へ、今日実地見聞をなし、土地の人にも聞いて、大体自信がつきました。

さて、ハネ橋といつぱ――

垢ぬけのせし三十あまりの年増、小ざつぱりとせし唐棧ぞろひに紺足袋はきて、雪駄ちやらちやら忙しげに横抱きの小包は問はでもしるし、茶屋の棧橋とんと沙汰して、廻り遠やこゝからあげまする、誂へものの仕事やさんとこのあたりに言ふぞかし……

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