堀 辰雄

新人紹介

一、履歴、僕は千九百四年十二月東京に生れた。

芥川龍之介は僕の最もよき先生だつた。彼の死くらゐ僕を感動させたものはない。

彼の死後、まもなく、僕はひどい肺炎にかかり、長いあひだ生と死との間にあつた。

僕の肉體はやがて恢復した。しかし僕の氣持はまだ生と死との間をためらつてゐる。その時分僕は僕の友人等に自殺するだらうと噂されたものだ。

青空文庫の作品カード