リルケ ライネル・マリア

夢

第七夜

私は少女を搜した。いましがた夜の明けたばかりの、狹い、長方形の部屋の中に、私は少女を見出した。彼女は一つの椅子に腰かけ、僅かにそれと分かるくらゐに微笑してゐた。その傍には、一寸離れて、もう一つの椅子があり、それには一人の青年が腰かけてゐたが、背を靠せた樣子がいかにも硬苦しい。さうしたまま、二人はその夜を過したらしく見える。

少女は身動ぎをして、私に手を差し延べた、私の手と出遇ふのに程よい高さにそれを持ち上げたのである。その手は熱くて、妙にざらざらしてゐた。なんだか野外生活をしてゐて、入用なものは自分自身で用を足すやうにしてゐる、小さな動物でも握つてゐるやうな氣がした。

それから今度は彼の番で、青年が身動ぎしはじめた。彼は目を覺まさうと明らかに努力してゐた。彼の顏はもどかしさと不滿の表情で收斂した。少女は彼の方を輕くふり向いて、彼を見つめた。青年の顏面は自身の努力によつて赤らんでゐた。それは中央に向つて收斂し、そしてときどき眼瞼を顫はせながら、もち上つた。しかし、その下にあるべき眼は、空虚のやうに見えた。

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