林 不忘

早耳三次捕物聞書

一

人影が動いた、と思ったら、すうっと消えた。

気のせいかな、と前方の暗黒を見透しながら、早耳三次が二、三歩進んだ時、橋の下で、水音が一つ寒々と響き渡った。

はっとした三次、欄干へ倚って下を覗いた。大川の水が星を浮かべて満々と淀み、※[#「木+戈」、176-下-7]を打って白く砕けている。その黒い水面を浮きつ沈みつ、人らしい物が流れていた。

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