林 不忘

釘抜藤吉捕物覚書

一

ひどい風だ。大川の流れが、闇黒に、白く泡立っていた。

本所、一つ目の橋を渡りきった右手に、墓地のような、角石の立ち並んだ空地が、半島状に、ほそ長く河に突き出ている。

柳が、枝を振り乱して、陰惨な夜景だった。三月もなかば過ぎだというのに、今夜は、ばかに寒い。それに、雨を持っているらしく、濡れた空気なのだ。

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