林 不忘

釘抜藤吉捕物覚書

一

「ちぇっ、朝っぱらから勘弁ならねえ。」

読みさしの黄表紙を伏せると、勘弁勘次は突っかかるようにこう言って、開けっ放した海老床の腰高越しに戸外を覗いた。

「御覧なせえ、親分。勘弁ならねえ癩病人が通りやすぜ――縁起でもねえや、ぺっ。」

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