小酒井 不木
自殺か他殺か
一
「兄さん、こう暑くては、まったく頭がぼんやりするねえ」
少年科学探偵塚原俊夫君は、ある日の午後、実験室で、顕微鏡を見ていた顔をあげて私に言いました。七月になってから急に暑さが増して、二三日は華氏九十度近くに達しましたから、俊夫君が、このような嘆声を発するのも無理はありません。
「君の頭でも、ぼんやりすることがあるのかね?」
小酒井 不木
一
「兄さん、こう暑くては、まったく頭がぼんやりするねえ」
少年科学探偵塚原俊夫君は、ある日の午後、実験室で、顕微鏡を見ていた顔をあげて私に言いました。七月になってから急に暑さが増して、二三日は華氏九十度近くに達しましたから、俊夫君が、このような嘆声を発するのも無理はありません。
「君の頭でも、ぼんやりすることがあるのかね?」