小酒井 不木

好色破邪顕正

探偵志願

戸針康雄は、訪問者が丑村という刑事であることを知るなり、ぎくりとして、思わずも手にして居た新聞紙を取り落した。不吉な予感が、彼の手を麻痺せしめたからである。

刑事は、す早く身を屈めて、康雄の落した新聞紙を拾い上げ、

「おお、やっぱり、ゆうべの殺人事件の記事を御読みでしたか。実は、私が御たずねしたのも、この事件に就てで御座います」

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