石川 啄木
無題
『樹木と果實』は赤色の表紙に黒き文字を以て題號を印刷する雜誌にして主に土岐哀果、石川啄木の二人之を編輯す。雜誌は其種類より言へば正に瀟洒たる一文學雜誌なれども、二人の興味は寧ろ所謂文壇の事に關らずして汎く日常社會現象に向ひ澎湃たる國民の内部的活動に注げり。雜誌の立つ處自ら現時の諸文學的流派の外にあらざる可らず。雜誌の將來に主張する所亦自ら然らむ。二人は自ら文學者を以て任ぜざるの誇を以て此雜誌を世の文學者及び文學者ならざる人々に提供す。
歌の投稿を募る。初號分締切二月十日限り。用紙は半紙判二つ折大とし歌數制限なし。選拔は哀果啄木二人の合議に據る。
編輯所は便宜上東京芝區濱松町一の十五土岐方及び發行所内の二箇所に置き投稿、書籍雜誌の寄贈を受く。
定價一部金十八錢郵税二錢△半年分前金税共一圓十錢△一年分同二圓十錢