種田 山頭火
赤い壺(三)
物を弄ぶのはその物の真髄を知らないからである。理解は時として離反を齎らすけれど、断じて玩弄というような軽浮なものを招かない。
鏡を持たない人は幸福である。その人は自分が最も美しいと信じきっている。私はそういう見すぼらしい幸福を観るにも堪えない。
自己を愛するということは自己に侫ねることではない、自己に寛大であることではない。真に自己を愛するものは、自己に対して最も峻厳であり残酷でさえある。
自分の罪を許すことの出来ない人は他の罪を許すことも出来ない。他の罪を責める人は、より多くの自分の罪を責める人でなければならないと同じ道理である。