国枝 史郎

真間の手古奈

一

一人の年老いた人相見が、三河の国の碧海郡の、八ツ橋のあたりに立っている古風な家を訪れました。

それは初夏のことでありまして、河の両岸には名に高い、燕子花の花が咲いていました。

茶など戴こうとこのように思って、人相見はその家を訪れたのでした。

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