種田 山頭火

行乞記

八月八日

五時半出立、はつらつとして歩いてゐたら、犬がとびだしてきて吠えたてた、あまりしつこいので※(「てへん+(麈-鹿)」、第3水準1-84-73)杖で一撃をくれてやつた、吠える犬はほんとうに臆病だつた。

水声、蝉声、山色こまやかなり、大田へはいつてゆく道はやつぱりよろしい。

十時には秋吉に着いて行乞、さらに近在行乞、財布(ナイフとルビをふるべし)を忘れてきてゐる。

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