岡本 帰一
自刻木版画に就いて
自刻の木版画が一般の人に段々重く見られて来た。然し未だ沢山出来ると云ふ事と価値との関係が絶えてない、又自刻の木版をやる人が沢山出来て来た。然し今迄で自分の見た内で極少数の人の外は多くは、趣味の人の画であつた、寧ろ皆と云ひたい。
木版及び刀が持つて居る特殊な味ひ、如何にもしつくり心地のいゝ印刷、習慣、商業人にない特殊な技工、之等から可成自由に、自分の趣味を発揮した人もあつた。
然し多くは素人として、刀の無器用な、使方不十分が反つて自然なプリミティブの感じを表はすので自刻して居る人もある。
要するに皆趣味の人である。そして多くの人の物は、凡そ、画を少し描く器用な人には少し技工の練習をすれば誰れにでも出来得る物である。少数の前者はそれに依つて自分を慰め楽しんで行ける趣味の人である。