斎藤 緑雨

もゝはがき

≪明治三十六年≫

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鷸にありては百羽掻也、僕にありては百端書也月や残んの寝覚めの空老れば人の洒落もさびしきものと存候、僕昨今の境遇にては、御加勢と申す程の事もなりかね候へども、この命題の下に見るにまかせ聞くにまかせ、且は思ふにまかせて過現来を問はず、われぞ数かくの歌の如く其時々の筆次第に郵便はがきを以て申上候間願はくは其儘を紙面の一隅に御列べ置被下度候、田に棲むもの、野に棲むもの、鷸は四十八品と称し候とかや、僕のも豈夫れ調あり、御坐います調あり、愚痴ありのろけあり花ならば色々芥ならば様々、種類を何と初めより一定不致候十日に一通の事もあるべく一日に十通の事もあるべし、かき鳴らすてふ羽音繁きか、端書繁きか之を以て僕が健康の計量器とも為し被下度候勿々(十三日)

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