宮沢 賢治

氷と後光

「ええ。」

雪と月あかりの中を、汽車はいっしんに走ってゐました。

赤い天鵞絨の頭巾をかぶったちひさな子が、毛布につつまれて窓の下の飴色の壁に上手にたてかけられ、まるで寢床に居るやうに、足をこっちにのばしてすやすやと睡ってゐます。

窓のガラスはすきとほり、外はがらんとして青く明るく見えました。

青空文庫の作品カード