田山 花袋・田山 録弥
月明夜々
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この頃の文壇の傾向は全く技巧的になつた。わるい意味に於ての一昔以前への復帰である。宇野氏の作物のごとき、芥川氏の作物の如き――。
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技巧をもつて人を惹きつけるといふことも、さう楽なことではないけれど、作者自身から言つて、さうしたことに倦む時が来ないであらうか。もつと本当のことを求むる心――自己をそのまゝ出さずにゐられないやうな要求を心に感じて来ることはないであらうか。或はさうした技巧家は、その心すべてが技巧そのものになつて了つてゐるので、さうした要求は竟に起すことがなくて、すんで了ふのであらうか。