田山 花袋・田山 録弥
不思議な鳥
芸術と実行
実行と芸術との問題は、今でも新しい問題であらねばならぬ。実行と芸術とは離るべからざるものであつて、そして猶且つ離れなければならないものである。それは実行のあるところに、必ずしも芸術があると限つてゐないからである。また実行がなくとも芸術はいくらでも立派に成立するからである。だから芸術に於ては閑文字だからと言つて捨て去ることは出来ない。また無内容だからと言つて、これはすぐれた作品でないと言ふことは出来ない。
不思議な鳥
不思議な鳥、今そこにゐたかと思ふと、すぐ何処かに飛んで行つて了ふといふやうな、さうかと思へば、いつまでもいつまでも一つの枝に留つてゐるやうな、また、現にそこに留つて居りながら、ある人には見え、ある人には見えないといふやうな、さうした不思議な鳥、その鳥に私は微妙な芸術を発見した。