薄田 泣菫
春菜
一
郷里にゐる弟のところから、粗末な竹籠の小荷物が、押潰されたやうになつたまま送りとどけられて来た。
その途端、鼻を刺すやうな激しい臭みが、籠の目を洩れて、そこらにぷんぷんと散ばつて往つた。それを嗅ぎつけると、私はほくそ笑みながら、すぐに自分の手で荷物の縄目を解きにかかつた。
包の中からは採りたてかと思はれるやうな、新鮮な韮の幾束かが転がり出してきた。私はその一つを手に取り上げた。
薄田 泣菫
一
郷里にゐる弟のところから、粗末な竹籠の小荷物が、押潰されたやうになつたまま送りとどけられて来た。
その途端、鼻を刺すやうな激しい臭みが、籠の目を洩れて、そこらにぷんぷんと散ばつて往つた。それを嗅ぎつけると、私はほくそ笑みながら、すぐに自分の手で荷物の縄目を解きにかかつた。
包の中からは採りたてかと思はれるやうな、新鮮な韮の幾束かが転がり出してきた。私はその一つを手に取り上げた。