徳永 直

あまり者

郷里の家に少しばかりの金を、送金したその受取りの返事を、今朝(工場の休みを)まだ寝床にいた私の枕許へ、台所にいた妻が持ってきた。

郷里を出て、モウまる三年というもの、私と郷里の消息は、いつも、この月々の僅かの仕送りの返事に附け足されたものに依って知ることが出来た。

その消息から推して、私は、私の幼い時分の故郷が、山と、田圃と、小さい町と、川とに彩られた、嘗て、田山花袋氏の全国行脚集に、日本で一等「田舎らしい田舎」と言われた、私の故郷が、だんだんに都会化しつつあることを想像させていた。

××山のてっぺんに、上水道の貯水池が造られ、×××谷の清流に発電所が出来、二作に、間作まで稔る××の田圃が開拓されて、電車が通い始めたということなど……

青空文庫の作品カード