徳永 直
戦争雑記
一
日露戦争がどんな理由、如何なる露国の、日本に対する圧迫、凌辱に依って、日本の政府が、あの如く日本国民を憤起させて敢て満洲の草原に幾万の同胞の屍を曝させたかは、当時、七歳にしかならない私に分りようがなかった。ただ、
「ロスケが悪いのだ、赤鬚が悪いのだ」
ということを、村長さんや、在郷軍人分会の会長さんたちに依って、村人を、特に若い青年を憤起させ、膾炙せしめたから、私達小児まで、
徳永 直
一
日露戦争がどんな理由、如何なる露国の、日本に対する圧迫、凌辱に依って、日本の政府が、あの如く日本国民を憤起させて敢て満洲の草原に幾万の同胞の屍を曝させたかは、当時、七歳にしかならない私に分りようがなかった。ただ、
「ロスケが悪いのだ、赤鬚が悪いのだ」
ということを、村長さんや、在郷軍人分会の会長さんたちに依って、村人を、特に若い青年を憤起させ、膾炙せしめたから、私達小児まで、