蒲 松齢
庚娘
金大用は中州の旧家の子であった。尤太守の女で幼な名を庚娘というのを夫人に迎えたが、綺麗なうえに賢明であったから、夫婦の間もいたってむつましかった。ところで、流賊の乱が起って金の一家も離散した。金は戦乱の中を両親と庚娘を伴れて南の方へ逃げた。
その途中で金は少年に遇った。それも細君と一緒に逃げていく者であったが、自分から、
「私は広陵の王十八という者です。どうか路案内をさしてください。」
といった。金は喜んで一緒にいった。河の傍へいった時、庚娘はそっと金に囁いた。
蒲 松齢
金大用は中州の旧家の子であった。尤太守の女で幼な名を庚娘というのを夫人に迎えたが、綺麗なうえに賢明であったから、夫婦の間もいたってむつましかった。ところで、流賊の乱が起って金の一家も離散した。金は戦乱の中を両親と庚娘を伴れて南の方へ逃げた。
その途中で金は少年に遇った。それも細君と一緒に逃げていく者であったが、自分から、
「私は広陵の王十八という者です。どうか路案内をさしてください。」
といった。金は喜んで一緒にいった。河の傍へいった時、庚娘はそっと金に囁いた。