蒲 松齢
翩翩
羅子浮は汾の人であった。両親が早く亡くなったので、八、九歳のころから叔父の大業の許へ身を寄せていた。大業は国子左廂の官にいたが、金があって子がなかったので、羅をほんとうの子供のようにして可愛がった。
羅は十四になって、良くない人に誘われて遊廓へ遊びにいくようになった。ちょうどその時金陵から来ている娼婦があって、それが郡の中に家を借りて住んでいた。羅はそれに惑溺して通っていたが、そのうちに娼婦は金陵へ返っていった。羅はそっと娼婦について逃げ出し、金陵へいって娼婦の家に半年ばかりもいたが、金がなくなったので、ひどく娼婦の女兄弟から冷遇せられるようになった。しかし、それでもまだ棄てられるほどではなかったが、間もなく瘡が出来て、それが潰れて牀席をよごしたので、とうとう逐い出された。
羅は困って乞食になった。市の人は羅の瘡が臭いので遠くからそれをさけた。羅は他郷でのたれ死をするのが、恐ろしいので、乞食をしながら西へ西へと返っていった。毎日シナの里数で三、四十里も歩いて、やっと汾の境までいったが、敗れた着物を着てひどく汚くなっている自分の姿を顧みると、村の門を入っていって村の人に顔を合せることができなかった。しかし、それでも故郷が恋しいので、ためらいためらい歩いて村の近くまでいった。
日がもう暮れていた。羅は山寺へいって宿をかろうと思った。その時向うから一人の女が来た。それは綺麗な仙女のような女であった。女は近くなると、