田中 貢太郎

円朝の牡丹灯籠

一

萩原新三郎は孫店に住む伴蔵を伴れて、柳島の横川へ釣に往っていた。それは五月の初めのことであった。新三郎は釣に往っても釣に興味はないので、吸筒の酒を飲んでいた。

新三郎は其の数ヶ月前、医者坊主の山本志丈といっしょに亀戸へ梅見に往って、其の帰りに志丈の知っている横川の飯島平左衛門と云う旗下の別荘へ寄ったが、其の時平左衛門の一人娘のお露を知り、それ以来お露のことばかり思っていたが、一人でお露を尋ねて往くわけにもゆかないので、志丈の来るのを待っていたところで、伴蔵が来て釣に誘うので、せめて外からでも飯島の別荘の容子を見ようと思って、其の朝神田昌平橋の船宿から漁師を雇って来たところであった。

新三郎は其のうちに酔って眠ってしまった。伴蔵は日の暮れるまで釣っていたが、新三郎があまり起きないので、

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