大杉 栄

獄中消息

市ヶ谷から(一)

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宛名・日附不明

僕は三畳の室を独占している。日当りもいいし、風通しもいいし、新しくて綺麗だし、なかなか下六番町の僕の家などの追いつくものでない。……こんなところなら一生はいっていてもいいと思うくらいだ。しかし警視庁はいやなところだった。南京虫が多くてね。僕も左の耳を噛まれて、握拳大の瘤を出かした。三、四日の間はかゆくてかゆくて、小刀でもあったらえぐり取りたいほどであった。

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