有島 武郎

私有農場から共産農団へ

A 北海道農場開放に就ての御意見を伺ひたいのですが。殊に、開放されるまでの動機やその方法、今後の処置などに就いてですな。

B 承知しました。

A 少し横道に這入るやうですが、この頃は切りに邸宅開放だとか、農場開放だとか、それも本統の意味での開放でなく、所謂美名に隠れて巨利を貪つてゐるやうな、開放の仕方が流行つてゐるやうですが、いゝ気なものですな。

B 全くですな。土地からの利益が上らなくなつたり、持て余して手放したり、それも単に手放すといふなら兎も角、美名に隠れて利益を得る開放の仕方などは不可ませんね。最近では横須賀侯などが農場を開放されると聞きますが、あれなどは実に怪しからんと思ひますね。農場の小作人に年賦か何かで土地を買はして、それでも未だ不可いからといふので、政府から補助を受けることになつてゐると聞きますが、これなんかは全く何うにかしなければ不可ませんね。

青空文庫の作品カード