中原 中也
良子
「お嬢ちやん大きくなつたらお嫁に行くんでせう?……」良子の家に毎日やつてくる真つ赤な顔や手の魚屋の小僧は、いまお祖母ちやんが鉢を出しに奥へ行つたと思ふとそんなことを云つた。
「いやーよ。」さう云ふなり良子は、走つて台所と物置との間の、狭い通路に這入つてしまつた。
彼女は今年七ツになる、先達小学校に入学したばかりだつた。
「お魚屋さんのばーかやい。」
中原 中也
「お嬢ちやん大きくなつたらお嫁に行くんでせう?……」良子の家に毎日やつてくる真つ赤な顔や手の魚屋の小僧は、いまお祖母ちやんが鉢を出しに奥へ行つたと思ふとそんなことを云つた。
「いやーよ。」さう云ふなり良子は、走つて台所と物置との間の、狭い通路に這入つてしまつた。
彼女は今年七ツになる、先達小学校に入学したばかりだつた。
「お魚屋さんのばーかやい。」