中原 中也
耕二のこと
一
主家で先刻から、父と母との小言らしい声がしてゐた。時々その声の間から、調子の高い耕二の声が聞えた。
それが聞えなくなつてから間もなくして、その時書斎で読書してゐた耕二の兄は、机の前の障子の中硝子から弟(一字不明)口笛を吹きながら仰向勝に耕二(五字不明)を、みた。
「何処に行くんだい。」
中原 中也
一
主家で先刻から、父と母との小言らしい声がしてゐた。時々その声の間から、調子の高い耕二の声が聞えた。
それが聞えなくなつてから間もなくして、その時書斎で読書してゐた耕二の兄は、机の前の障子の中硝子から弟(一字不明)口笛を吹きながら仰向勝に耕二(五字不明)を、みた。
「何処に行くんだい。」