紫式部
源氏物語
大きなるまゆみのもとに美しくかがり火もえて涼風ぞ吹く (晶子)
このごろ、世間では内大臣の新令嬢という言葉を何かのことにつけては言うのを源氏の大臣は聞いて、
「ともかくも深窓に置かれる娘を、最初は大騒ぎもして迎えておきながら、今では世間へ笑いの材料に呈供しているような大臣の気持ちが理解できない。自尊心の強い性質から、ほかで育った娘の出来のよしあしも考えずに呼び寄せたあとで、気に入らない不愉快さを、そうした侮辱的扱いで紛らしているのであろう。実質はともかくも周囲の人が愛でつくろえば世間体をよくすることもできるものなのだけれど」
と言って愛されない令嬢に同情していた。そんなことも聞いて玉鬘は親であってもどんな性格であるとも知らずに接近して行っては恥ずかしい目にあうことが自分にないとも思われないと感じた。右近もそれを強めたような意見を告げた。迷惑な恋心は持たれているが、そうかといって無理をしいようともせず愛情はますます深く感ぜられる源氏であったから、ようやく玉鬘も不安なしに親しむことができるようになった。