泉 鏡花・泉 鏡太郎

湯どうふ

昨夜は夜ふかしをした。

今朝……と云ふがお午ごろ、炬燵でうと/\して居ると、いつも來て囀る、おてんばや、いたづらツ兒の雀たちは、何處へすツ飛んだか、ひつそりと靜まつて、チイ/\と、甘えるやうに、寂しさうに、一羽目白鳥が鳴いた。

いまが花の頃の、裏邸の枇杷の樹かと思ふが、もつと近い。屋根には居まい。ぢき背戸の小さな椿の樹らしいなと、そつと縁側へ出て立つと、その枇杷の方から、斜にさつと音がして時雨が來た。……

椿の梢には、つい此のあひだ枯萩の枝を刈つて、その時引殘した朝顏の蔓に、五つ六つ白い實のついたのが、冷く、はら/\と濡れて行く。

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