小川 未明

海の少年

今年の夏休みに、正雄さんは、母さんや姉さんに連れられて、江の島の別荘へ避暑にまいりました。正雄さんは海が珍しいので、毎日朝から晩まで、海辺へ出ては、美しい貝がらや、小石などを拾い集めて、それをたもとに入れて、重くなったのをかかえて家へ帰ると、姉や妹に見せて、だんだんたくさんにたまるのを見て、東京へのおみやげにしようと喜んでいました。

ある日のこと、正雄さんは、ただ一人で海の方から吹いてくる涼しい風に吹かれながら波打ちぎわを、あちらこちらと小石や貝がらを見つけながら歩いて、

「見つかれしょ、見つかれしょ、己の目に見つかれしょ。真珠の貝がら見つかれしょ。」といいました。

青々とした海には白帆の影が、白鳥の飛んでいるように見えて、それはそれはいいお天気でありました。

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