小川 未明
海へ
この村でのわんぱく者といえば、だれ知らぬものがなかったほど、龍雄はわんぱく者でした。親のいうこともきかなければ、また他人のいうこともききませんでした。
よく友だちを泣かしました。すると泣かされた子供の親は、
「またあの龍雄めにいじめられてきたか。」
といって、なかには怒って親がわざわざ龍雄の家へ告げにやってくるものもありました。こんなわけで龍雄の両親は、わが子にほとほと困ったのであります。学校にいる中は、成績はいいほうでありましたけれど、やはり友だちをいじめたり、先生のいうことをきかなかったりして先生を困らしました。しかし小学校を卒業すると、家がどちらかといえば貧しかったので、それ以上学校へやることができなかったのであります。龍雄は、毎日棒を持って村の中をぶらぶら歩いていました。