小川 未明
少年の日の悲哀
一
三郎はどこからか、一ぴきのかわいらしい小犬をもらってきました。そして、その小犬をかわいがっていました。彼はそれにボンという名をつけて、ボン、ボンと呼びました。
ボンは人馴れたやさしい犬で、主人の三郎にはもとよりよくなつきましたが、まただれでも呼ぶ人があれば、その人になついたのです。だから、みんなにかわいがられていました。三郎は朝早く起きてボンを連れて、空気の新鮮なうちに外を散歩するのを楽しみとしていました。また、小川に連れていって、ボンを水の中に入れて毛を洗ってやったりして、ボンを喜ばせるのをも楽しみの一つとしているのです。
三郎は、独り犬ばかりでない猫もかわいがりました。また、小鳥や、金魚などをもかわいがりました。なんでも小さな、自分より弱い動物を愛したのであります。