小川 未明
雪の国と太郎
はるかなそりの跡
この村には七つ八つから十一、二の子供が五、六人もいましたけれど、だれも隣村の太郎にかなうものはありませんでした。太郎は、まだやっと十二ばかりでした。けれど力が強くて、年のわりあいに体が大きくて手足が太くて、目が大きく円くて、くるくるとちょうど、わしの眸のように黒くて光っていました。
だから、この村の子供はだれも太郎とけんかをして勝ち得るものはありません。みな太郎をおそれていました。
「今日君は太郎を見たかい。」
小川 未明
はるかなそりの跡
この村には七つ八つから十一、二の子供が五、六人もいましたけれど、だれも隣村の太郎にかなうものはありませんでした。太郎は、まだやっと十二ばかりでした。けれど力が強くて、年のわりあいに体が大きくて手足が太くて、目が大きく円くて、くるくるとちょうど、わしの眸のように黒くて光っていました。
だから、この村の子供はだれも太郎とけんかをして勝ち得るものはありません。みな太郎をおそれていました。
「今日君は太郎を見たかい。」