小川 未明
めくら星
それは、ずっと、いまから遠い昔のことであります。
あるところに目のよく見えない娘がありました。お母さんは、娘が、まだ小さいときに、娘をのこして、病気のため死んでしまいました。その後にきましたお母さんは、この娘を、ほんとうの自分の産んだ子供のようにかわいがらずに、なにかにつけて娘につらくあたりました。
娘は、目こそあまりよく見えませんでしたけれど、まことにりこうな女の子でありました。そして、後にきたお母さんに産まれた、弟の三郎の守りをしたり、自分のできるかぎりの世話をしたのであります。
こんなに、弟をかわいがりましたのにかかわらず、お母さんは、やはり娘を目の敵にしました。お母さんは、じつにものの道理のわからない人でありましたけれど、弟の三郎はこの姉を慕い、そのいうことをよくきく、いい子でありました。